10.感動しちゃった

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「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ。あ、でも例の噂が怖い? まだ嫌がらせメール届いたりしてるの?」 「いえ、アドレス変更してからは届いてません」 「じゃあ行こうよ。曲なんて知らなくても絶対楽しめるって」 「田中さんはもうチケット確保されてるんですね」 「もちろん。良い席取れてるといいな」 夏目涼じゃなくて桜川陽から招待されたと思って貰えるのは良かったけど、本当に行って大丈夫かな。関係者席ってどの辺だろう。田中さんの席はそれより良い席でありますように。 それにしても日菜ちゃんから全然連絡来ないのは心配。 桜川陽と会ったら連絡くれると思ってたのに、どうしたんだろう。考えていたら携帯が鳴ったので願いが通じたのかなと思ったけれど、日菜ちゃんじゃなくて冬真くんだった。 『久しぶり。元気?』 「元気だよ。メッセージは見てくれた?」 『ああ、日菜のことでしょ? 本人から連絡ないの?』 「ないよ」 『ふーん。じゃあ僕も何も言わないでおく。その内報告あるんじゃない?』 「え、冬真くんは知ってるの? ねえ、スプリングとサマーの10周年記念ライブでの重大発表って――」 『それも内緒。波美さん、来るんでしょ?』 「うーん、招待するって言われたけど、どうしようか迷ってる」 『えー、来てよ。僕も出るんだよ』 「そうなの? 裏方的な感じ?」 『来ればわかるよ。絶対来て。じゃあまあ元気そうだし、もう僕の方から連絡するのは終わりにするね』 「え、ちょっ――」 電話切られた。 でもそっか。ライブに行けば色々わかるのか。 じゃあもうこれは行くしかない!
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