10.感動しちゃった

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歌いながらスプリングが待つメインステージへ。曲が終わった瞬間に全員並んだ後ろに大きな文字が浮かび上がる。 10th ANNIVERSARY Spring & Summer 「祝え、10周年!」 ステージに花火が上がって、会場全体から大歓声。 10年か。 夏目涼は、10年間ずっと頑張ってきて、今日ステージに立っているんだ。 その間に何があったのか何も知らないクセに、涙が溢れそうになる。全然知らないけど、辛いことや苦しいこと、悔しいことが沢山あったに違いないから。 でも感傷に浸っている暇なんてない。 ステージが迫り上がって――えー、こっちに来る!? 床が外れてそのまま客席の上に移動してくる感じ。 嘘でしょ、最近のステージって動けるの!? こんなの初めて見た。アイドルのライブの演出って凄いのね。 感心している間にすぐ目の前に夏目涼。 うわっ、目が合っちゃった。 でもそれは一瞬で、すぐに彼は他のファン達に笑顔を向けた。 やっぱり彼は私が知ってる夏目涼じゃない。 今目の前にいるのは結成10周年のアイドルグループ、サマーのリーダー。 正面はもちろん、横から見ても斜めから見ても、後ろ姿だってカッコイイ、夏目涼だ。
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