2.変わらないね

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その週末、会社帰りに元彼と偶然再会した。 私が見つけたわけでも、彼の方が気付いてくれたわけでもない。 近付いて声を掛けてきたのは、大学の後輩の女子だった。 「波美さんですよね!? 全然お変わりないですね。お久しぶりです」 わかりますかって自己紹介されたけど、覚えてた。髪型と化粧が変わっても、特徴的な可愛らしい声は忘れられない。この子がいるってことはもしかしてって彼女の後ろを見たら、やっぱり元彼がいた。 「久しぶり」 「うん……久しぶり」 急いでるふりして逃げるのもなんか惨めで、立ち止まったままでいたら彼女が尋ねた。 「波美さんこの辺りにお勤めなんですか?」 「うん、まあ……」 「えー凄い。私達これから打ち合わせなんです。私達……」 笑顔で彼の腕を掴んで、彼女は宣言した。 「結婚するんです」 多分彼女は私が彼と付き合っていたことを知らない。だからきっと悪気はないのだ。 悪気はなく――当然祝ってくれますよねって顔で返事を待たれてしまった。 「そうなんだ。おめでとう」 そう言うしかないから、彼女だけ見詰めてそう答えた。 「波美さんは……波美さん、本当に変わらないですね。ねー、同じ年には見えないよ」 って、視線を促されてつい同じ年の男を見てしまったら、言われた。
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