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「うん……アイドルなんだなあって思った。ステージではキラキラしてて、あなたを見る女の子達の目もキラキラしてて、あー夏目涼ってアイドルだったんだって」
「キラッキラの俺、格好良かった?」
「うん。いつもと全然違うなあって」
「それ普段ダメってこと? そりゃオンとオフはあるさ。24時間キラキラなんて陽くらいだよ。波美にはアイドル夏目涼を知った上でただの男として――」
「それは無理」
思い切って言ってしまったら、もう胸がドキドキしてきた。
「オフでもあなたは夏目涼だもの。完全に切り離すなんて不可能よ。昨日の夏目涼は本当に魅力的で私――」
「ちょっ、波美どうした? 目が据わってるよ? ラッシー、アルコール入ってないはずだけど――」
自分から別れ話を切り出すなんて人生初。
もの凄く気まずいし、逆ギレされたらどうしようって怖くて、夏目涼じゃなくてグラスを見詰めて一気に話そうとしていた。
ちゃんと目を見て伝えなきゃ。
でもその前に――
「ごめん、とりあえず食べていい?」
「ああ……うん……」
彼が私の為に作ってくれた最初で最後のディナーを残さず綺麗に食べて、彼も食事を終えていることを確認すると、ごちそうさまと手を合わせて顔を上げた。
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