77人が本棚に入れています
本棚に追加
日菜ちゃんは冬真くんの招待を断って会場には行かず、自宅で配信を見たらしい。
「日菜ちゃんは冬真くんが新しいグループに加入すること聞いてたの?」
「いいえ。だからびっくりしました。ちゃんとやれますかね」
「大丈夫じゃない? あのステージで堂々と振る舞ってたし、可愛いからきっと人気出るよ」
そんな話をしている間に、車は私の家に近付いて来た。
「ねえ日菜ちゃん、もう遅いからウチに泊まっていかない?」
「いいんですか? でも仁に会ったら気まずいかな」
「ウチに車が停まる音聞いたら、多分あっちが避けて出てこないと思う。朝も会わないようにこっそり出掛けるんじゃないかしら」
「ああ、仁は人見知りでしたね」
「でも明日は燃えるゴミの日だから、早起きすれば2階の窓からこっそり姿を見られるかもよ」
「おおー、それはいいですね」
というわけで、日菜ちゃんはウチに泊まって行くことになった。
「わー、波美さんち懐かしい」
「その節は本当にお世話になりました」
「いえいえこちらこそ。波美さんがいなかったら、私は今頃どうなっていたことやら」
そうかな。
私が何もしなかったら、まだ後藤と一緒にいられたかもしれないよ?
後藤の家に明かりはない。もう真夜中だから当然だけど。
「早朝仁ウォッチングするには、明日何時に起きればいいですか?」
「6時半で大丈夫だよ」
「ちゃんと起きられるように、もう寝ましょうか」
えっ、後藤の話したいけど――
最初のコメントを投稿しよう!