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「私も大好きだよ、日菜ちゃん。私も日菜ちゃんの幸せの為なら何でも協力するからね」
「波美さーん」
日菜ちゃんの柔らかい体をギュッとした。
ここから押し倒したり押し倒されたりしない安心安全なハグ。
その心地よさに癒された後、ようやく新しい携帯を持った日菜ちゃんと連絡先を交換して、一緒に部屋を片付けて部屋を出た。
そして2人で後藤家を見上げたけれど、どの窓にも後藤の気配はなかった。
駅まででいいって言ったのに結局会社まで車で送って貰いながら、日菜ちゃんから後藤について色々教えて貰った。
勤め先と帰宅時間、休みの曜日等の大事な情報から、おにぎりの具はシーチキンより鮭が好きとか、朝の情報番組で犬が出てくるコーナーが始まる音が聞こえるとテレビの前に飛んでくるなんてプチ情報まで。
「後藤くんって犬好きなの?」
「犬じゃなくてもモフモフしてれば何でも好きですよ。でも飼うのは嫌なんですって」
「どうして?」
「別にペットショップを否定するわけじゃないけれど、売られてる姿を見るのも自分が買うという行為をするのも抵抗あるんですって」
「じゃあ保護犬や保護猫は?」
「俺なんかより、もっと明るくて楽しい家族に保護して貰いたいって」
うわー、なるほど。
「テレビのコーナーで紹介されるのはそういう家族に飼われている幸せな犬だから、安心して愛でられるみたいです」
うっ。
「やっぱり闇抱えてるね」
「ですね、手強いですよ」
そうか、でもわかった。
後藤は結婚しないと決めている一方で、本当は温かい家庭を持ちたいんだなってことが。
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