12.付き合おうか

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「違うよ、誰がそんなこと――」 「ゆかが、彼女の旦那から後藤が可愛い奥さんじゃなくてデカイ女と歩いてるの見たって聞いた後、スーパーで波美と仲良く買い物してる所見ちゃったって言ってたよ」 ゆかの夫は中学の同級生で、後藤とは高校も同じだったらしい。 「ねえその話、何処まで広がってるの?」 「さあ……ゆかに聞いてみたら?」 なんてことだ。私、不倫してるって噂されてるの? 早速ゆかに連絡してみたら子供のいない所でゆっくり話そうって言われて、また4人で会うことになった。 「で、後藤とはどうなってるの?」 「いやだからどうにもなってないよ」 「本当に? そんな風には見えなかったけどなあ」 主婦の感、鋭い。私が後藤に好意を抱いていること、しっかり読み取られてしまったか。 何を何処までどう話すかは、事前に日菜ちゃんと相談して決めてきた。その順番通りに、私は彼女達に説明を始めた。 日菜ちゃんの正体は隠して、ほぼそのままの話だ。 車を運転していた後藤が彼女とぶつかりそうになって、助けてみたら行き場のない女性で、放って置けなかったから保護したけれど、その時の約束通りそれから3年経って彼女も元気になったから別れたって。 「得体のしれない女性を助ける為に3年で別れる約束して結婚したってこと? そんな怖いことよく出来たね」 「でも凄く可愛い女性なのよね?」 「じゃあ期間限定でいいから結婚してくれって、むしろ後藤が頼んだ感じ?」 「そうじゃないと思うけど……」
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