77人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
出会わないものはどうしようもないって思ってた。
でもきっと違う。
出会う努力を怠っていたからだ。
彼の本命になれなかった頃から、全く成長していないからだ。
そんなことを考えながら電車に揺られて駅について、駅前通りを歩き始めたら記憶に新しい文字が目に飛び込んできた。
美容院の看板。
みーたんが勤めている店だ。
やだ、毎日通ってたじゃんって近付いたら、みーたんと目が合ってしまった。
「おおっ、来たね!」
「そ、そういうわけじゃ……お店ここだったんだなって――」
「いいじゃん、せっかく来たんだから入って」
そう言われて覚悟を決めた。
断れなかっただけじゃない。
変わりたいって、思ったからだ。
そして――
「どう? いいでしょ」
鏡の中に、見たことない自分。
いいかどうかはよくわかんない。
「じゃ、次はメイクね」
「へ?」
「写真撮らせてって言ったでしょ。皆も準備して」
「み、皆? え、何?」
一度消えて戻って来た人達は、変わった衣装に身を包んでいた。あー、例のアニメのコスプレか。
ってことはもしかして私も――
最初のコメントを投稿しよう!