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「そろそろイルカショーの時間だけど、どうする?」
「見たい、行こう!」
ショーを見て、お昼を食べて、またじっくり魚を見て、お土産を買って、そろそろ帰ろうかって外に出た時にはまだ明るかった。
「ありがとう、フウセンウオ見れたし、楽しかったよ」
「うん、俺も久しぶりに色んな魚見れて良かったよ」
後藤はそう答えて自然に駅の方向に歩き出した。
このままでは初デートが終わってしまう!
「後藤くん、この後予定あるの?」
「いや、別に……」
「じゃあせっかくだから、この辺ちょっと散歩しない? あの川沿い見て、花が咲いてる」
「ああ……いいよ」
よし、とりあえず駅から遠ざかろう。
でも何の話をしようかと考えていたら、後藤に言われた。
「一条さ、俺が離婚したこと誰かに話した?」
「ああごめん、あの……私と後藤くんが一緒に歩いてたって噂になってて、不倫じゃないって釈明する為に――」
「そうだったのか。そういうことなら仕方ないな。こっちこそごめん」
「ううん、先に後藤くんに相談するべきだったね。誰かに何か言われた?」
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