77人が本棚に入れています
本棚に追加
「一条、足は大丈夫か?」
「うん、私までお世話になっちゃって、親切な病院で良かったわ」
私は笑顔で答えたけれど、後藤は深刻な表情をしていた。
「浅い川でも危険なのに、一条を巻き込んでしまって本当にすまなかった」
「そんなこと――」
「いや、大事なことだよ。一条に何かあったら俺は――」
「父に申し訳ない? そういうのもういいわ」
「え?」
言ってしまった私も驚いたけれど、もう止まらなかった。
「一緒にいるのは私なのに、後藤くん全然私のこと見てくれないんだもん。なんか……寂しくなるよ」
わっ、私今、後藤に何言った!?
やばい、やばい、やばい。
恥ずかし過ぎて後藤の顔見れないって思った瞬間、足が勝手に逃げ出した。
「おい待てって、サンダルで走るな」
無理無理無理、あんなこと言っちゃって、一緒に家まで帰るとか無理。
「一条!」
ここから家まで1時間以上掛かるもん。
しかも後藤んち隣だもん。
最初のコメントを投稿しよう!