77人が本棚に入れています
本棚に追加
『そういう話なら協力するわよ。お婆ちゃんだって、孫の幸せの為だったら頑張れるわよ、きっと』
「ねえお婆ちゃんに余計なこと言わないでよ。もしそっちに預けることになったら後藤くんも一緒に行くと思うし、その時に変なプレッシャー掛けたら逆効果だからね?」
『わかってるわよー、変じゃなくて的確なプレッシャー掛ければいいんでしょ? 日菜ちゃんの旦那さんだった人だってことも言わないように気を付けるわ』
ああ! そうだった、祖父母は日菜ちゃんのこと知ってるんだった!
「え、でも名前でバレない?」
『うーん、どうだっけ、最初に会ったときに後藤日菜ですとか自己紹介したかもしれないけど、その後は日菜ちゃんとしか呼んでないから多分覚えてないわよ』
そっか、人の名前覚えられないお年頃で助かった。
「でも本当に気をつけてよ。後藤くんは凄く真面目で繊細だからさ……」
『そんなことわかってるわよ。お父さんから色々聞いてるもの。波美は何処まで知ってるの?』
答えていいものか迷っていたら、母が先に言った。
『ちなみにお父さんは波美が後藤家の嫁になるのは反対だったわよ。仁はとても良い子だけど、大事な娘を嫁にやれるかっていうと話は別だって。後藤家に口出しせずに耐えていられるのは他人だからで、親戚になったら仁の親父殴っちまうかもしれないとも言ってたわ』
え……後藤の家ってお父さんにも問題があるの……?
「私、後藤くんのお父さんについては聞いてないんだけど……」
『ああ、大丈夫よ。真逆のタイプだからイライラして喧嘩になりそうってだけで、悪い人じゃないわ。ちょっと冷たく見えるけど、内心色々深く考えてるんじゃないかしら。仁くんもそういうタイプでしょ?』
ふーん、そういうことか……
『でもそんな話したのは波美がまだ中学生の頃だから、今だったらお父さんも反対しないんじゃない? 仁くんは立派な男に成長したし、あなたがその彼に惹かれてるって知ったら、きっとお父さん喜ぶわよ』
そうだといいな……でも……
最初のコメントを投稿しよう!