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「お母さんは後藤くんのお母さんのこと気にならないの?」
『気にならないわけじゃないけど……波美がそれでも仁くんを選ぶなら応援するわよ』
それは心強いけど……
「ねえ、でも強引に周囲から固めて結婚させようなんてしないでよ? 後藤くん逃げ出しちゃうよ。私は会えなくなる位なら一生お隣さんでいいんだから、あんまり――」
『大丈夫よ、任せなさい』
本当に大丈夫かな……
「ああでも、そもそも子猫が助かるかどうかもまだ……」
『きっと助かるわよ。じゃあこっちも準備進めておくから連絡してね』
準備って子猫を受け入れる準備のことよね?
早まって私が結婚する準備じゃないわよね?
うー、子猫については安心出来たけど、新たな不安が……
そして翌日、いつもの日曜日のように朝と呼べる時間が過ぎるまで寝ていたらインターホンに起こされた。
何か荷物……じゃなくて後藤!
「お、おはよう、ごめんちょっと待って」
『そこで聞いてくれればいいよ。病院から連絡あって、あの子は危篤状態脱してミルク飲んだって。じゃあ俺これから猫の保護施設に――』
「待って!」
思わず寝起きの姿のまま玄関を開けてしまった。
「昨日母に連絡したら、子猫飼ってくれるって」
「え、本当に?」
「うん。後藤くんもその方が安心でしょ? 最近はこんな感じだよって写真とか送って貰えるし、その気になれば会いにも行けるし」
後藤の瞳が輝いた。
その瞳を私の顔から全身に向けて、彼は尋ねた。
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