13.その気あるんでしょ

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「一条……今起きたところ?」 「ああっごめん、こんな恰好で、じゃあそういうことで――」 「良かったら昼飯食べながらウチで話そう。30分後でいいかな」 「え、あ、はい」 後藤にお昼招待された! どうしよう、何着ていこう――って寝起き見られて今更か、いや、だからこそギャップを狙って着飾る――のは変だよね…… 迷って着替えて身支度を調えて後藤家へ。 玄関先でもう良い匂いがした。 「わー美味しそうな匂い。野菜ジュース持って来たけど合うかな?」 「ああ、野菜が足りないから調度いいよ、ありがとう」 テーブルの上には漬け物の小皿が2つ。 そして後藤は熱々の丼とコップを2つずつ運んで来てくれた。 「おー、親子丼。美味しそう」 「親少なめだけどね」 「あー、また半分私が取っちゃったってことだよね、申し訳ない」 「ごめん、嫌味言うつもりじゃ――」 「わかってるよ」 鶏肉が少ない代わりに卵たっぷりの親子丼。まろやかで美味しい。 それをいただきながら、病院からの電話について詳しい話を聞いた。 「じゃあ週末に迎えに行けばいいのね。それまで入院か……入院費は割り勘で――」 「いいよ、俺が払う。貯めても使い道ないし。子猫を飼う為に必要なものも俺が揃えるから大丈夫だってオバサンに伝えておいてくれ」 いやいや、そんなに後藤にばかり負担掛けられないよ…… 「いや、どうだろう。張り切ってたし、もう買っちゃったかもよ? それに世話するのはウチの母だから、本人が使い勝手がいいもの選びたいんじゃない?」 「そっか……じゃあ請求書回して」 仕事か! 後藤ってほんとキッチリしてるな。
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