13.その気あるんでしょ

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「あのね、後藤くんと日菜ちゃんのことなんだけど……」 「ああ、結局別れたんでしょ?」 日菜ちゃんから相談を受けていたらしく、お婆ちゃんも事情を知っていた。 「だけどびっくりしたわ、波美ちゃんが気になってる男性連れてくるって聞いてたから」 「ごめんごめん、そこは追々話そうかなって」 「大事なことじゃない、先に言ってくれないと。波美ちゃん、あの人が好きなの? 悪い人じゃなさそうだけど……なんだかねえ……大丈夫なの?」 まあ、客観的に見たら心配な相手よね…… 「大丈夫じゃないから気になっちゃうのよね?」 母がキッチンにやって来て、代わりに答えた。 テンテンちゃんは餌を食べて寝たらしい。 「ああ、そういうこと。でもねえ……一生のことだからよーく考えた方がいいよ?」 一生のことか。やっぱりこの年で男性と仲良くなるって結婚前提が常識なのかしらと考えていると、また私の代わりに母が答えた。 「もう十分考えたでしょう。波美の中では答えが出ていることなのよ。だから応援してあげて。まあお父さんにはもうしばらくこの話は黙って置きましょう」 私が後藤をどう思っているか、母はお婆ちゃんにしか話してなかったので、お爺ちゃんには引き続き黙っていることにした。 そもそもまだ付き合ってるわけでもないし。 女性だけで話をまとめてリビングに戻ろうとした時、お爺ちゃんの声が聞こえた。 「日菜ちゃんと別れたあ?」 後藤、正直に離婚報告したのね。 「はい。お陰様で日菜は本当の家族と再会出来たので、婚姻解消して家族と暮らしています」 「本当の家族ってどういうことだ?」 うわあ、面倒なことになってる。 「お爺ちゃん、その話は――」
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