13.その気あるんでしょ

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チョビにもお休みの挨拶をして気持ちを落ち着かせてから寝室へ行ったら、母がニヤニヤした顔で尋ねた。 「どうだった?」 「テンテンちゃん寝てたよ。この家で飼って貰えて本当に良かったって言ってた」 「ふーん、それだけ?」 「え、あ……ありがとうって言われた。私の布団これ? じゃあお休み」 布団に隠れて逃げたら間もなく電気が消えて、浴衣姿の後藤を思い出して眠れないかと思ったけれど、そんなことはなかった。 お婆ちゃんちの匂いがする布団が心地良くて、ぐっすり眠ってしまった。 スッキリ目覚めた翌朝、着替えてテンテンちゃんの部屋に行った。 後藤も既に起きていて、テンテンちゃんに餌をあげていた。 「後藤くん、おはよう。テンテンちゃん、今日も元気だね」 「おはよう。すっごい早起きで、これ2度目の朝ご飯だよ」 答えて小さなあくびをする後藤。 あんまり寝られなかったのかな、少しボーッとしてて可愛い。 「大丈夫? もう一度寝たら?」 「いいよ、今寝たら起きられなくなる。顔洗ってくる。テンテンちゃん見ててあげてくれ」 「うん」 しばらくしたら朝食の準備が出来たと母に呼ばれた。 久しぶりにパンじゃなくてご飯の朝食。お婆ちゃんちの味噌汁美味しいな。 食事が済んで後片付けを手伝って、チョビと遊んで、また膝で寝てしまったチョビを自分で猫ベッドに運ぶと、後藤は言った。 「一条、そろそろ帰らないか?」 「そうだね」 母達にお昼までいたらと言われたけれど、洗濯物が溜まっていることを思い出して帰ることにした。
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