13.その気あるんでしょ

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「本当に色々ありがとうございました。テンテンちゃんのこと、よろしくお願いします」 「いえいえ、気を付けて帰ってね」 そして車に乗り込もうとした時、あくびをかみ殺す後藤を見て私は提案した。 「ねえ、私が運転しようか」 「え、一条運転出来るのか?」 うーん、出来るかって聞かれると自信ないけど…… 「免許は持ってるよ。ここから家までなら大丈夫でしょ。後藤くんは寝てていいよ」 「じゃあお願いしていいか?」 「任せなさい」 運転久しぶりだし、集中してたら後藤に言われた。 「一条、運転似合うな」 「え、ほんと?」 「うん、なんかカッコイイ。大丈夫そうだから、俺本当に寝てもいい?」 「どうぞ」 本当に寝ちゃった。 起こさないように安全運転しなきゃ。 順調に進んで家に到着する少し手前で、後藤は目覚めた。 「あー、よく寝た。わっ、もうここか。ずっと寝ててごめん」 「いいよ、本当に昨日寝てなかったんだね。ごめんね、テンテンちゃんの世話任せちゃって」 「これからずっとお願いするから、最初の日ぐらいはね。昨日も言ったけど、あの家で飼って貰えて本当に良かったよ。一条の家族は本当に皆温かくて優しい人達だな」 あの家族しか知らないからそれが普通だと思っていたけれど、私は恵まれているのかな。 今度改めて母と祖父母に感謝の贈り物でもしようかしら。
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