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結局全部食べて借りを作ってしまった後、大きなクローゼットのある部屋に案内された。
「ほら見て。これ飾って眺めるだけなのよ」
「ええっ、あっちゃん着たらいいじゃん」
「昔借りたら汚しちゃって貸してくれなくなっちゃった」
なるほど。でも着ない方が勿体ないんじゃないかと思っていたら、あっちゃんママがやって来た。
「どうせ似合わないじゃない。身長も足りないし、後5キロは痩せないと」
あっちゃん別に太ってないけど、確かに失礼ながらこのパンツは無理かなと考えて、私が呼ばれた理由がわかった。
「もしかしてこれを私に着てみろ……と?」
「そう。ショートカットで背の高いお友達いないのって前から言ってたのよ」
またコスプレか。
ショートカットの私にこれ程需要があるとは思わなかった。
で、服着るだけかと思ったらあっちゃんママにメイクまでされて――
「おおおー、ぽい! 男役っぽい!」
鏡の前に立ってみたら、確かにそれっぽかった。
私、こういう方が似合うんだな。
男と間違えられないように髪伸ばしてスカートはいてたけど、こっちだったね。
あっちゃんママとツーショット撮られて、なんかスター気分。
で、元の服に着替えて帰ろうとしたら、服が入った大きな紙袋を渡された。
「良かったらこれ差し上げるわ」
「ええっ、頂くわけには……写真だったらまたいつでも――」
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