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「いらっしゃいませ。お2人様ですか?」
「はい」
窓際の席に案内された。
花壇の向こうに山が見える。素敵なお店。
店員さんがお水とメニューを置いて去ると、後藤に尋ねた。
「後藤くん、今って休憩? それとも――」
「ここに来たかったんだ。ランチのコースでいいかな?」
「うん……」
いいけど、昼からフレンチのコース……?
こ、これはもしかして、イエスの返事来る!?
改めて後藤の方からプロポーズ? 食事の後、指輪来ちゃう!?
嘘、どうしよう、心の準備全然出来てない!
振られた時の対処しか考えてなかったよ、あー!
落ち着け!
勝手に期待しちゃダメだ、ちゃんと本人に聞いてみよう。
「思い出の店なの? それとも美味しいって評判を聞いたとか?」
「初めてだけど、美味しいらしいよ」
すぐに前菜が運ばれてきたので食べ始めたけれど、落ち着かない。
「一条、どうした? 車に酔った?」
「へ? あ、ううん、だ、大丈夫だよ」
後藤は落ち着いてるな。こんなに落ち着いてるってことは違うかな。
でも私の答えはイエスに決まってるし、2回目だもんね。
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