14.先に出て待ってる

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「いらっしゃいませ。お2人様ですか?」 「はい」 窓際の席に案内された。 花壇の向こうに山が見える。素敵なお店。 店員さんがお水とメニューを置いて去ると、後藤に尋ねた。 「後藤くん、今って休憩? それとも――」 「ここに来たかったんだ。ランチのコースでいいかな?」 「うん……」 いいけど、昼からフレンチのコース……? こ、これはもしかして、イエスの返事来る!? 改めて後藤の方からプロポーズ? 食事の後、指輪来ちゃう!? 嘘、どうしよう、心の準備全然出来てない! 振られた時の対処しか考えてなかったよ、あー! 落ち着け! 勝手に期待しちゃダメだ、ちゃんと本人に聞いてみよう。 「思い出の店なの? それとも美味しいって評判を聞いたとか?」 「初めてだけど、美味しいらしいよ」 すぐに前菜が運ばれてきたので食べ始めたけれど、落ち着かない。 「一条、どうした? 車に酔った?」 「へ? あ、ううん、だ、大丈夫だよ」 後藤は落ち着いてるな。こんなに落ち着いてるってことは違うかな。 でも私の答えはイエスに決まってるし、2回目だもんね。
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