14.先に出て待ってる

8/20
前へ
/293ページ
次へ
私が答えると、彼女は後藤を見て尋ねた。 「お2人ともお皿でよろしいですか?」 「はい。それでお願いします」 後藤が答えると、彼女は私達にお皿を渡してやり方を説明し、私達が描き始めると奥の席に戻ってしまった。 全く他人のやりとり。 やっぱりお母さんじゃないのか。 ――え? じゃあ今何の時間……? 静かな工房でコソコソ話も出来ないので、疑問を感じつつ絵付けをした。 「うわっ、後藤くん上手いね」 「一条もいいセンスしてるよ」 「そ、そうかな?」 なんて会話をしても、謎の後藤さんは無反応。 そして絵付けが終わると、完成したら郵送すると言われた。 「じゃあ部屋に戻ろう。そろそろ父が来ると思う」 そうか、絵付け体験はレストランのランチタイムが終わるまでの時間調整で、お母さんに会いに行くのはお父さんが来てからなのねと納得して歩き出すと、後ろから声が聞こえた。 「仁」
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加