14.先に出て待ってる

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追いかけて湯船に並んで、再チャレンジ。 「ねえ、あの――」 キスで止められた。意地でも好きとは言わないつもりかと思ったら、そっと抱き締められた。 「俺は好きっていうより……たまらなく愛しいよ」 やだ、泣きそう! 「こんなに俺を気に掛けてくれるなんて、一条、本当に親父さんに体乗っ取られたんじゃないかって疑ってたけど、乗っ取られたの俺かも」 やだ、やっぱり涙出てきて止まらない。 「そんなこと言ったら、私も愛しいよ」 「ありがとう」 流れ落ちた涙を夜風が拭ってくれた。 満天の星達に見守られて抱き締め合った後、露天風呂から出て体を拭いて、服を着ようとしたらまた止められた。 「このまま寝ようよ」 またしようって誘いではなく、シーツの中で湯上がりの肌を重ねて寝ようってお誘い。 後藤の肌は温かくて滑らかで心地良くて、すぐ眠りに落ちてしまった。 そして翌朝。 朝食を美味しくいただいてチェックアウトしようとしたらお支払いは済んでいますと言われたので、お礼と挨拶をするためにオーナーを呼んで貰った。 「色々とありがとうございました」 「こちらこそ、来てくれてありがとう。お父さんとお母さんに会っていかなくていいの?」 「このまま行きます。父と母をよろしくお願いします」 本当に会わなくていいのかなと思いつつ黙って車に向かうと、レストランの方から人が走って来た。 「仁」
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