14.先に出て待ってる

19/20
前へ
/293ページ
次へ
「隣だからな。とりあえず週末だけウチに来る?」 まあ、いきなり毎日会うっていうのもね。 「そうだね。あ、でもたまには平日に行っていい?」 「もちろん」 「ああ、あと連絡先交換していい?」 「え? ああ、してなかったな」 そして後藤の家に到着。 「運転お疲れ様。じゃあまた週末か、その前に」 「うん。遠くまで付き合ってくれて、ありがとう」 自分の家の玄関に入ると、思わず小声で叫んでしまった。 「やったあ!」 ついに脱お隣さんした! 後藤の彼女になった!  いや、彼女じゃなくて――婚約者……? あーニヤニヤしちゃう、この喜びを誰かに伝えたい! と思ったら携帯に着信。母だ。 テンテンちゃんの写真が送られて来た。 元気だよ、可愛いでしょって。 まん丸お目々でカメラ目線。 本当だ、可愛いって眺めていたら、電話が掛かってきた。 『そっちはどうなの?』 よくぞ聞いてくれました! 「うん、あのね……後藤くんのご両親に会ってきた」 驚く母に、後藤に気持ちを伝えて応えて貰ったことを伝えたら、喜んでくれた。でもいいことばかりじゃない。後藤のお母さんが息子を認識出来なかったことや、お父さんに結婚式に出席したり姻戚関係の付き合いは難しいけれど、それでも構わないなら仁をよろしくお願いしますと言われたことも伝えた。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加