14.先に出て待ってる

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『そうねえ……色んな人がいるから、勤め先の人や友達、こっちの親戚に後藤家の事情を詮索されるのは避けたいとなると、結婚式は難しいかしらねって、えっ? もうそこまで話進んでるの?』 あれ? そう言われたら……はっきりプロポーズの答えを聞いたわけじゃないかな。 『ねえ、その後藤くんの大叔父さんのペンションって何処にあるの? 何て名前?』 「聞いてどうするの?」 『どうって……どんな所か興味あるじゃない?』 不信に思いつつ教えてしまった。 『あなた達はもう大人だし、いつどんな形で結婚しようとあなた達の自由だけど、親としてはきちんと祝福したいから、婚姻届を提出する前にもう一度2人でこっちにいらっしゃい』 「うん、わかった」 連絡先を交換したことだし、早速後藤に報告しようかと思ったけれど、止めた。 こういう話は直接した方がいいよね。 いっそ家に行っちゃおうかな。 いやいやいや、さっき別れたばかりだし、引かれるわ。 でもずーっと考えてしまう。 後藤今何してるんだろう、お風呂入ったかな、もう寝たかなとか。 それで結局、寝る前に「おやすみなさい」って一言だけメッセージを送った。 そしたらすぐに返事が来た。 『おやすみ』 続けてスタンプでも送ってくるかと待ってみたけれど、何もなし。 文字でも寡黙なのねって思いながら、その四文字をしばし眺めてから眠りに就いた。
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