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「うーん……」
わからないから箱に戻して、最後の1つを開けた。
「わあ、素敵」
どう見てもプロの作品。
圧倒的に美しい花柄のティーカップセットだ。
「これって……」
「この花……」
2人同時に呟いて、目を合わせたら、後藤が言った。
「ブルースター。俺が昔、母にプレゼントした花だ」
え、そうだったの!?
「私、その花見たよ。とっても綺麗だった。お花も……それを大事そうに見ていた後藤くんのお母さんも」
そう告げると、後藤は少し瞳を潤ませて、ティーカップと一緒に入っていた封筒を手に取り、中から取り出した手紙を読み上げた。
「先日は来てくれてありがとう。2人が絵付けしたお皿が焼き上がったので送ります。それから一条さんのお母様がいらして――」
びっくりして目を合わせた。
「ごめん、聞かれたからペンションの場所と名前は教えちゃった。でも行くとは聞いてなかったよ」
「そっか」
後藤は頷いて手紙を読み進めた。
「2人の結婚について話し合いをしました――」
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