15.私も守るよ

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「報告しなきゃいけない相手、1人忘れてない?」 私はさっぱり思い浮かばなかったけれど、後藤がハッとした顔で答えた。 「失礼しました。是非ご報告させてください」 「こっちよ」 ああ、父か。 仏間に案内されると、後藤は曾祖父母と父の遺影に頭を下げて自己紹介して、彼等に宣言した。 「波美さんと結婚させていただきます。どうか温かく見守って下さい」 「よろしくお願いします」 一条じゃなくて波美さんって呼ばれたって思いながら、私も父達にお願いした後、玄関へ。 「本当に色々ありがとうございました」 「いえいえ。お父様達によろしく」 お爺ちゃんとお婆ちゃん、それにテンテンちゃんとチョビにも見送られて、また来るねって挨拶して車に乗り込んだ。 私は運転席、後藤は助手席。お酒が入った後藤は、いつになくテンション高めだった。 「なあ、結婚式するなら新婚旅行にも行くか?」 「そっか、会社の人呼んで盛大に式挙げなくたって冠婚葬祭で休み貰えるよね」 「うん、堂々と休める。何処行きたい?」 新婚旅行かあ。妄想したこともなかったわ。 やっぱり甘いムードで過ごせる南国がいいかなあ。でもオーロラ見に行くとかもロマンチックでいいよね。 「まあそれはゆっくり考えるとして、まずは父と相談して式の日取りを決めるか。季節の希望とかある?」 「貸し切りにしていただくなら、お客さんが少ない時期を選んで貰った方が気が楽かな」 「そうだな。それでドレスと白無垢、どっちがいい?」 おー、花嫁衣装、着るのか、私。 「ペンションでってなると着付けや化粧は自分でも出来るくらいじゃないと難しくない?」 「それは……大叔母に相談してみるか」
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