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新しい髪型と化粧と服装は他の人にも好評だった。
でもだからって急にモテるとかそんなに世の中甘くはない。
吸い寄せる力がないのだからこっちから出向くしかないという理屈はわかっても、どこに行ったら理想の相手がいるのかもわからない。
マッチングアプリとか怖いし。
結婚相談所とか行ったらずっと年上のおじさん紹介されそうだし。
あー無理だ、男探す気力ない。
あー私でもいいって言ってくれる可愛い子、降って来ないかなあ。
なんてことを考えながら家に帰って鍵を開けようとしていたら、隣の家の玄関が開いた。
後藤んち。
でも出てきたのは後藤じゃなかった。いや後藤さんは後藤さんだろうけど、多分妻の方だった。
「こんばんは」
「こ、こんばんは」
挨拶を返したら、彼女はタタターっとこちらに走り寄ってきて門の外から尋ねた。
「前からこちらにお住まいでした?」
「ええまあ……」
「でも初めてお会いしますよね?」
「そ、そうですね」
門の内側と道路には段差があるし、彼女は私より大分背が低そうなので子供のように下からじーっと見上げてる。
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