77人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
「ねえ、あなたの奥さん、アイドルだったの?」
すると後藤は私を睨みながら答えた。
「それ他の奴に絶対言いふらすなよ」
「い、言わないけど……なんで?」
「変な奴の耳に入ったら何されるかわからないからだよ」
あー、しつこく彼女を嫌ってる奴に嫌がらせされるとかあり得るかも。既に色々大変なことがあったのかなと思った私は、興味本位で質問したことを詫びた。
「ごめん」
「別に謝らなくても……日菜が自分で言ったんだろ?」
「うん」
「友達になってくれるかもって嬉しそうだった」
あ、ちょっと笑顔になった。
「でも本当に気を付けてくれ。頼むよ」
「はい」
そっか、彼女、私のこと後藤に話したんだ。
なんて言ったんだろう。
隣のお姉さんに会ったよって?
それともあれは外面で、後藤の前では隣のオバサンに挨拶してやったとか言ってたり――
「綺麗なお姉さんって誰のことだよって思ったけど……なんか雰囲気変わったな」
遠回しに褒められた?
言った後藤も照れたようにそそくさとゴミを捨てて去って行った。
てか日菜ちゃん、私がいない所でも綺麗なお姉さんだなんて言ってくれたのか。
滅茶苦茶良い子じゃん!
最初のコメントを投稿しよう!