77人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
というわけで――
「波美さん、良かったらこれ召し上がって下さい」
「凄いね、これ日菜ちゃんが作ったの?」
「いえいえ、あまり物ですが、どうぞ」
いただいちゃいました、隣の可愛い奥さんから手料理の差し入れ。
こんな可愛い子が家にいてお料理作ってくれるなんて羨まし過ぎるぞ、後藤!
喜んで受け取ったらその後も時々料理を持って来てくれるようになって、貰ってばかりじゃ悪いかなと、会社帰りに可愛いお菓子を探して買って来てしまった。ピンクと黄色のお花の形のクッキー。次に彼女がやって来た日に良かったらどうぞって差し出した。
「可愛い! でもこれわざわざ買って来て下さったんじゃ……」
「いつもいただいてばかりだから、たまにはね」
「でも私が持ってくるのはあまり物です。ごめんなさい、逆に気を遣わせてしまって……」
って申し訳なさそうに俯いた頭頂部も可愛い。
「そんな大したことじゃ――」
「一緒に食べません?」
慰めようと顔を近づけたら突然顔を上げられて、キスの立ち位置になってしまった。でも彼女は逃げるどころか更に顔を近づけて言った。
「波美さん、紅茶好きですか?」
「うん、まあ普通に……」
「じゃあ紅茶を入れて、これ一緒に食べましょう」
時刻は夜7時30分。え、今? 後藤は? って思ったけど――
最初のコメントを投稿しよう!