3.タイプです

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「お邪魔します」 引っ越して来て約20年。初めて隣家に足を踏み入れてしまった。 スッキリした玄関。ウチはなんかよくわかんない置物とか飾っちゃってるけど、そういうの一切無し。置きっ放しの靴も無し。 「2階にどうぞ」 廊下の先の階段を上がる。そして2つ並んだ扉の1つが開かれた。 ピンク! ピンクの壁に、ピンクの絨毯、カーテンもピンクでフリフリ! 「ここが私の部屋です」 でしょうね。後藤の部屋だったらドン引きだよ。 「私、紅茶持って来ますね。そこに座って待ってて下さい」 そう言われてピンクの花柄クッションに座って待っていると、彼女はティーポットとカップを載せたお盆を持って戻って来た。 カップに紅茶を注ぐ彼女をじっと見てしまう。 本当にお茶を入れているのにおままごとに見える可愛らしさ。 ドールハウスみたいで落ち着かないと思ってた部屋も、彼女がいると自然に見えるというか、彼女には普通の部屋はむしろ似合わないんだと納得した。 紅茶を注ぎ終えると、彼女は私があげたクッキーを手に取った。
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