77人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
「お邪魔します」
引っ越して来て約20年。初めて隣家に足を踏み入れてしまった。
スッキリした玄関。ウチはなんかよくわかんない置物とか飾っちゃってるけど、そういうの一切無し。置きっ放しの靴も無し。
「2階にどうぞ」
廊下の先の階段を上がる。そして2つ並んだ扉の1つが開かれた。
ピンク!
ピンクの壁に、ピンクの絨毯、カーテンもピンクでフリフリ!
「ここが私の部屋です」
でしょうね。後藤の部屋だったらドン引きだよ。
「私、紅茶持って来ますね。そこに座って待ってて下さい」
そう言われてピンクの花柄クッションに座って待っていると、彼女はティーポットとカップを載せたお盆を持って戻って来た。
カップに紅茶を注ぐ彼女をじっと見てしまう。
本当にお茶を入れているのにおままごとに見える可愛らしさ。
ドールハウスみたいで落ち着かないと思ってた部屋も、彼女がいると自然に見えるというか、彼女には普通の部屋はむしろ似合わないんだと納得した。
紅茶を注ぎ終えると、彼女は私があげたクッキーを手に取った。
最初のコメントを投稿しよう!