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「食べる前に、写真撮りましょう」
おっ、携帯じゃなくて結構本格的なカメラなんだ。意外。
えっ、それで自撮り? 難しくない?
「私が撮ろうか?」
「ダメですよ。波美さんも一緒に撮るに決まってるでしょ」
「いや、私は入らない方が――」
「だってほら、ピンクと黄色があるんだし、ね?」
そうだねって……ん? 両方日菜ちゃんが持てばすむ話――って顔近っ!
って動揺している間に撮られてしまった。ツーショット。
凄い! レンズ覗き込んでないのに調度いい大きさで人物が真ん中に収まった完璧な構図。そして日菜ちゃん、完璧な笑顔。
私は――
「あー、波美さん格好良さがちゃんと出てないです。表情作って下さいよー」
出せるような格好良さがあるのかどうかは置いといて、彼女と並ぶと僅かな女っぽさも消えて男に見えるよね。
「ちょっと練習しましょう。ちゃんと目を開いて……あー、そんな見開いちゃダメです、もっと自然に……うん、まあそれでいいです。そのまま口角上げましょう。まだです。もっとこれくらい……」
唇の両端に彼女の指。
でもチョンって感じ。自分で触るのと全然違う。指細いなーって思っていたら階下で音がした。
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