3.タイプです

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玄関が開く音。そしてダーッと階段を駆け上がる音。 血相変えた後藤が扉を開けた。そして私と目が合うと、大きく息を吐きながら言った。 「なんだ、男かと思った」 ああ、25センチの地味なぺたんこ靴見たからね。 そりゃびっくりするよね。 「お、お邪魔してます」 「見て、これ波美さんに貰ったのー、可愛いでしょ」 って可愛い妻が立ち上がってアピールしたけれど、後藤は不審そうな顔で私を睨み付けて尋ねた。 「なんで? まさか……日菜狙ってるのか?」 ヒー! 日菜ちゃんが座ってた席に片膝ついて胸ぐら掴み上げそうな顔を近づけられた。 「止めて、波美さんは気を遣ってくれただけだよ」 「だからなんで?」 「なんでって……」 料理をお裾分けしたからと言えばいいだけなのに何故か言い淀んだので、あれっと思いつつ私は口を挟んでしまった。 「手料理のお礼です!」 すると後藤は更に私を睨み付けた後、その顔を日菜ちゃんに向けた。 「あー、最近残さず食べてると思ったらそういうことか」 「……ごめんなさい」 えっ? どういうことって思ったら、日菜ちゃんは私にも頭を下げた。 「ごめんなさい。あれ本当にあまり物っていうか――」
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