4.手を繋いでもいいですか

2/18

77人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
あれから日菜ちゃんは料理を持って来てくれなくなった。 気になる。日菜ちゃん、元気にしてるかな。 「ちょ、聞いてる?」 「ごめんなさい、何でしたっけ?」 仕事中だった。 考えても仕方ないことをつい考えてしまっていたら、田中さんにからかわれた。 「おぬし、やはり恋をしているのではないか?」 いやいや、日菜ちゃん女の子だし、私も一応女だしって思ったら後藤に言われたこと思い出した。 『お前まさか……日菜狙ってるのか?』 え、狙うって……そういう意味!? 「いいねえ、独身は」 そう言われたから、逆に聞いてみた。 「結婚してると、何が良くないんですか?」 「そりゃだから……夫にしか恋出来ないじゃない?」 「ああ……不倫めっちゃ叩かれますもんね」 「一条さんは叩かないの?」 「うーん、夫いないし既婚者好きになったことないし、あんまりピンとこないです」 「まあ所詮他人事だよね。私も芸能人必死に叩く人は理解出来ない」 だよねって思ったけど、私と彼女の頭の中は、やはり違うようだった。 「でもウチのダンナに手を出す女は絶対許さない」 こ、怖っ! でも皆そうなんだろうなって考えたら、後藤の顔が浮かんだ。 私、男だったらあの時殺されてたかも。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加