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あれから日菜ちゃんは料理を持って来てくれなくなった。
気になる。日菜ちゃん、元気にしてるかな。
「ちょ、聞いてる?」
「ごめんなさい、何でしたっけ?」
仕事中だった。
考えても仕方ないことをつい考えてしまっていたら、田中さんにからかわれた。
「おぬし、やはり恋をしているのではないか?」
いやいや、日菜ちゃん女の子だし、私も一応女だしって思ったら後藤に言われたこと思い出した。
『お前まさか……日菜狙ってるのか?』
え、狙うって……そういう意味!?
「いいねえ、独身は」
そう言われたから、逆に聞いてみた。
「結婚してると、何が良くないんですか?」
「そりゃだから……夫にしか恋出来ないじゃない?」
「ああ……不倫めっちゃ叩かれますもんね」
「一条さんは叩かないの?」
「うーん、夫いないし既婚者好きになったことないし、あんまりピンとこないです」
「まあ所詮他人事だよね。私も芸能人必死に叩く人は理解出来ない」
だよねって思ったけど、私と彼女の頭の中は、やはり違うようだった。
「でもウチのダンナに手を出す女は絶対許さない」
こ、怖っ!
でも皆そうなんだろうなって考えたら、後藤の顔が浮かんだ。
私、男だったらあの時殺されてたかも。
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