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「枕元にぬいぐるみあるだろ? この写真のせいで熱愛発覚したんだよ」
「ぬいぐるみ……? ああ、このちっちゃいやつ?」
「そう」
画面の端にぼんやり映っているピンクのテディベア。これが男性アイドルからのプレゼントだったことが、この写真がアップされた直後のテレビ放送でバレたのだという。
「過去に遡ってこれも怪しい、こっちも匂わせだってあっという間に炎上さ。でもその怪しい写真ってのが全部彼女じゃなくてこの女が撮った写真なんだよ」
写真がアップされていた彼女達が所属していたアイドルユニットの公式SNSは既にアカウントも削除されているけれど、こうして保存している人はきっと彼だけではないのだろう。
「え? でもだったらこっちの女性と男性アイドルが付き合ってたってことは――」
「ない。そういう誤解はないようにコメントがついてる」
「あー……え? でもこの人も所属してたアイドルユニットなんでしょ? 炎上したら自分だって困るんじゃ……」
「まあな、結局解散しちまったし。でもきっと、そういうつもりじゃなかったんだよ」
このアイドルユニットは人気が伸び悩んでいて、バッチリメイク女は炎上で売名した後、グループ1番人気の日菜ちゃんを脱退させて自分がセンターになる算段だったに違いないと同僚のドルオタくんは語った。
「それに気に入らなかったんだろ。こいつ、奴のファンだったからな」
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