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うー気になる。
これは本人に聞くしかないと思ったけれど、あれから後藤と顔を合わせることがない。
多分メッチャ避けられてる。
私が寝ている早朝にゴミ出してるに違いない。
日菜ちゃんにも全然会えない。
後藤に軟禁されてるのかな。
隣だから直で会えばいいと思って連絡先交換しなかったのが悔やまれる。
「あ、そうだ!」
閃いた。私が大袈裟に今家にいて暇ですよって気配出したらいいんだ。そしたら日菜ちゃんの方から顔出してくれるかもしれない。
で、日曜の午後、出来るだけ大きな音立てて家の前を掃除してたら、思った通り日菜ちゃんが顔を出した。
「波美さん」
「日菜――」
シーってされて黙ったら手招きされた。ちょっと待ってって合図して掃除道具玄関に放り込んで鍵掛けて駆け寄ったら、細くて白い手に引き込まれた。
「会いたかった」
は、ハグされちゃった。
何これ柔らかい。フワッフワだよ、日菜ちゃん……!
「この前のクッキーね、賞味期限大丈夫だからまだとってあるの。今度こそ一緒に食べましょう」
「うん、後藤……くんは?」
「お仕事です」
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