4.手を繋いでもいいですか

8/18

77人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
後藤は家具の販売店に勤めていて土日は出勤らしい。 「これもあれも、全部彼の会社の商品です。可愛いでしょ」 彼女の部屋じゃなくてリビングに通されたけれど、まっピンクじゃないだけで可愛らしい部屋だった。 「そこに座って――」 「良かったら手伝わせて」 一緒に紅茶を入れて、カップやお皿を運んで、ようやく例のクッキーを食べた。 「美味しい!」 って笑顔の日菜ちゃん見て感無量。 色々聞きたかったけど、この関係を壊さないように黙っていようかなって思った。多分色々あって、辛いこと思い出させたら可哀想だしって。 でも、彼女の方から話し始めた。 「私アイドルだったって言ったでしょ? でも好きな人が出来ちゃって、それが皆にバレて責められて辞めたんです」 そうだねって顔して聞いてたら、もう知ってましたかって言われちゃったから、気になって少し調べたことを正直に話して質問した。 「本当に付き合ってたの?」 「はい。私は本気でした。高校中退してアイドルになったからちゃんと恋愛したことなくて、夢中になっちゃいました。でも好きになっちゃいけない相手でした」 自虐的に笑う彼女は抱き締めたくなる程、儚げで可愛かった。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加