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そっか。日菜ちゃん、家で高校生してたんだ。
つまり後藤の妻は、元アイドルで女子高生ってことか!
「でもそれだと友達は出来ないよね」
「それがいいんですよ。他の生徒も皆それぞれ事情があるし、お互い詮索しないから安心です」
本当にそれでいいのかな……
「家事は後藤くんがやってくれるの?」
「掃除と洗濯は私がします。料理は苦手で……買い物も彼が仕事帰りにしてきます。生活するって他にも色々細かいことありますけど、そういうのも全部彼がやってくれます」
「ゴミ出しも彼だよね。ってことは日菜ちゃんは普段は家から一歩も出ないの?」
「出ますよ。休日には彼とお出かけします」
それってやっぱり軟禁じゃん。
「先週は海に行ったんです。そしたらね……カメラ持って来ます、ちょっと待ってて」
タタターと階段を駆け上がって、カメラを手にまたタタターと戻って来た日菜ちゃんを見て、気付いてしまった。
「ほら見て、凄く可愛い鳥が――」
「日菜ちゃん、今携帯持ってないの?」
日菜ちゃんはピクッとして、黙って瞬きした後答えた。
「持ってますけど契約は切れてます」
「後藤くんは新しい携帯買ってくれないの?」
「私がいらないって言いました。必要ないし、あんまり好きじゃないんです」
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