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パーカーにデニム、髪はまとめてちょっと大きめなキャップの中。
「彼が子供の頃着てた服、押し入れにしまったままだったんです。靴もすぐ小さくなっちゃってほとんど履いてなかったのが残ってました。タイムスリップしてきた小学生男子みたいでしょ?」
うん、凄く可愛い男の子に見える。でも私と並んだら――
「私……誘拐犯に見えちゃわない?」
「見えませんよ。波美さんは私のカッコイイお兄ちゃ――お姉さんです」
そっか、後藤と外出する時は夫婦でも恋人同士でもなく、年の離れた兄弟か親子を装ってたのか。そこまで警戒しなきゃならない理由はよくわからないけれど――
「さて、何処行こうか。後藤くんとはいつもどういう所に行くの?」
「車で海や山に行くことが多いです」
「それは日菜ちゃんの希望? 人が多い所には行きたくないとか?」
「そんなことないですけど……しばらく行ってないから、どうでしょう」
「行ってみる? 最近2駅先にショッピングモール出来たよ」
「行きたい! 行きましょう!」
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