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母が乗って行ってしまってウチには車がなかったから、まず駅に行った。
「電車、久しぶり?」
「そうですね……」
「あ、お金は心配しないでね。私が誘ったから、今日は私が出すよ」
「え、そんなの――」
「任せなさい。お姉さん結構稼いでます」
そう。そしてほとんど使い道ありません。
だから推しの舞台とかドラマのBlu-rayとかにつぎ込んでたけど、彼はもう他人の夫。
だから日菜ちゃんを推して行こう!
まあ彼女も人妻なわけだけど、不思議なことに芸能人でも認識した時既に結婚してるとお相手のこと気にならないんだよね。ほんと不思議。
日菜ちゃんの場合は相手のこと知ってるけど、まあ後藤だし。そもそも女同士だから、下心とかないしねって思ってたら日菜ちゃんが言った。
「はぐれないように、手を繋いでもいいですか?」
「えっ、ああ……」
ハッキリ答える前に繋がれちゃった。それでじっと見上げられて……なんだこのくすぐったい感じ。
まさか恋? いや、母性か?
手を繋いで歩いてたら、通りすがりに言われちゃったし。
「ねえ、あの子超可愛い」
「ほんとだ、凄い美少年。お父さんもイケメン」
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