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出た、桜川陽!
もちろん実物じゃないけど、結構大きな広告写真。
日菜ちゃん気付いてるかな。
気付いてないなら見せない方がいいよねって日菜ちゃんを見張った。終わったら急いで広場から出てあっちに行こう。よし!
「お待たせしました」
笑顔で戻って来た日菜ちゃんが、よそ見しないよう空かさず接近して顔を覗き込んだ。
「楽しかった?」
「はい! このCD、後で一緒に聴きましょうね」
「うん。あ、いくらだった?」
「大丈夫です。自分のお金で応援したいんで」
色々あって辞めて、もうアイドルなんてこりごりなんじゃないかって勝手に思ってたけれど、こんなにキラキラした笑顔で応援出来るなんて凄い。
もう桜川陽とのことも乗り越えてるかも。
そう思いながら無事広場を抜けてモールのストリートに入った時、日菜ちゃんが足を止めた。
うっ、ここにもいたか桜川陽!
「日菜ちゃん……」
「あ、ごめんなさい。あっち行きましょう!」
目が合うと笑顔になったけれど、日菜ちゃんの真顔を見てしまった。
綺麗で、でも悲しげな顔を。
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