77人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
「ねえ、何してるの?」
「だから荷造り」
「なんで?」
「やだ、見てないの?」
ああ、通知無視してた。
「ごめん、何?」
「だから、おばあちゃん転んで怪我したって」
「え、大丈夫なの?」
「だから大丈夫じゃないのよ。右手やっちゃったみたい。というわけで、しばらく実家に帰らせていただきます」
「えー!? なんで? おじいちゃんが――」
「おじいちゃんに任せられるわけないでしょう。チョビもいるんだし」
確かに。むしろ80過ぎの爺さんと猫の世話する人がいなくなったってことだ。でもじゃあ……私の世話は?
「いつ行くの?」
「今すぐって言いたい所だけど……まあ明日にするわ」
「いつまで?」
「さあ……わかんないけど、数ヶ月?」
「えっ、そんなに!?」
「良い機会だし、独り暮らししてみたらいいじゃない。私が元気なうちに……ね?」
ううう。返す言葉がない。
「はい、これどうぞ」
って日常生活に必要な情報があれこれ詰め込まれた分厚いファイルを渡された。
最初のコメントを投稿しよう!