5.電気消してこっち来て

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そして金曜日、あと2日で日菜ちゃんに会えるって思いながら仕事済ませて帰ろうとしたらドルオタくんに声を掛けられた。 「一条さん、今帰る所?」 「はい」 「じゃあ食事行かない? 面白い話あるよ」 日菜ちゃん情報かと思ったら違った。ドルオタくんが今推してるアイドルの話だった。彼は情報源だから愛想笑いで聞いてたけど、そろそろ限界かなって思ってたら言われた。 「いやー、一条さんとこんなに趣味が合うなんて感動だよ。今まで君の存在に気付かなくてごめんね」 ――は? 「ねえ、俺達正式に付き合わない?」 はあ? 正式にって――2人きりで食事しただけなのに、なんとなく付き合ってるとか思ってる!? こういうタイプにはハッキリ言わないと伝わらないだろうけど、明日も一緒に仕事するんだから無理って即答するのは危険だよねって考えてたらもっと困ること言われた。 「一条さん、もう30過ぎてるよね? 俺ももうすぐ40だし、そろそろ結婚してもいいかなと思ってるんだ。だから結婚前提でも全然構わないよ」 ちょっと待って、何言ってるの? もうすぐ40? 仕事出来ないし肩書き一緒だからもう少し下だと思ってた。そのアラフォードルオタが結婚前提に付き合っても構わないだとー!? 「や……私は……結婚はまだいいかな……結婚考えてるなら悪いからお付き合いは遠慮します」 「え、なんで? 30過ぎたら子どもの染色体異常の発現率どんどん上がるよ? 子供欲しくないの?」 よくそんなこと知ってるね。でも男は年齢関係ないと思ってそう。んなわけないからね?
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