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そうじゃないけど、あなたの子供はいらないって言いたいのを我慢してたらまた勘違いしたこと言い出した。
「あ、一条さんってやっぱり……男より女の子が好きって人?」
やっぱりって何? 何がやっぱり?
「や、あの……とにかくごめんなさい!」
割り勘より若干多い金額をテーブルに置いて逃げ出した。
追ってくる程本気じゃないだろうと思いつつ駅まで走ろうとしたけれど、信号に阻まれた。
やばい、店から出て来た!
とその時、いきなりヘルメットを押しつけられた。
「乗って」
バイクに乗った男性。聞いたことあるような声だけど……誰?
「早く!」
そうだ、逃げなきゃって素直に彼の後ろに乗った。タンデムなんて久しぶりだなって思ってたら男性に言われた。
「乗り慣れてるな」
「昔よく父の後ろに――」
「そう。じゃあ飛ばす」
走り出した。
これでもう安心――のわけないじゃん!
私、なんで知らない人のバイクに乗っちゃったの!?
いや、理由はわかってる。
ヘルメットで顔見えないけど、めっちゃスタイル良くて声も魅力的で、要するにイケメンオーラがダダ漏れだったからだ。
アラフォードルオタに付き合って結婚してやってもいいだなんて屈辱的なこと言われた直後の私には、救いの神に見えてしまった。
でもこの人……本当に神かな。
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