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「ああ。本当にあのオッサンの彼女だった」
――は? ドルオタくんのこと?
「彼女じゃありません、一体誰がそんなこと――」
「本人」
また携帯画面見せられた。
私の写真。この前元アイドルの店でドルオタくんに撮られたやつ。彼女と行って来たってコメント付きで。
「こいつの思い込みか。だよな、似合わないと思った」
開いた口が塞がらなくなった私に、彼が説明してくれた。
彼は日菜ちゃんの情報を集める為にアイドルオタクのふりをして彼等と繋がっていたらしい。それで日菜ちゃんと一緒の写真とドルオタくんが彼女として上げた写真の人物が同一だと気付いて、簡単に特定出来たドルオタくんの勤務先を見張っていたそうだ。
「え、でもこの職場の同僚は私が日菜ちゃんの知り合いだってこと気付いてないと思いますけど――」
「こっちの写真送って来た奴は彼と直接繋がってない。それより君は日菜とどういう関係?」
聞いてどうする気だろうと思って、逆に尋ねた。
「写真送って来た奴ってどういう人ですか? 彼女に粘着してるヤバい人がいるって聞きましたけど――」
「ああ、それ多分俺。狂信的なオタ演じてるから。普通のオタ演じるより、その方が情報集めやすい。日菜に傷つけられたり侮辱されたと思ってる奴等が、俺が代わりに制裁すること期待して色々教えてくれるよ」
え、じゃあ――
「本当はもう彼女に粘着しているヤバい人はいないってことですか?」
「断言出来ないけど、俺より目立つ奴はいなくなった」
「はあ……で、あなたは彼女を探し出してどうする気ですか?」
「決まってるだろ? 会いに行く」
「そうじゃなくて、会ってどうするのかって――」
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