5.電気消してこっち来て

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「会ってみなきゃわかんない。彼女何処?」 至近距離に桜川陽の顔。 すっごい目力。動けない。 どうしよう。日菜ちゃんならもう結婚しましたなんて言えないし、そんな重要な告知、私がするべきじゃない。だけどこれって何か情報渡さなければ許されない状況……? 困っていたら桜川陽の携帯が鳴り始めて、彼は私を見据えたまま電話に出た。 「はい……は? 今から?」 電話の途中で彼は私から目を離したけれど、私は彼から目が離せなかった。 これが桜川陽。 日菜ちゃんが本当に好きな男。 ――今も? そして電話を切ると、彼は再び私を見据えて言った。 「急な仕事が入った。話は後だ」 「え、あの――」 「行ってらっしゃい」 可愛い子が私の腕にギュッてしがみついた! えって顔したら、めっちゃ可愛い顔で微笑み返されて、見惚れている間に桜川陽は出掛けてしまった。 「あ、あの――」 「トウマだよ」 「へ?」 「僕の名前」 彼は私の腕を放してテーブルの上にあった雑誌を開いて見せてきた。 そこには彼の写真があって、「雪野冬真(ゆきの とうま)」と書かれていた。彼は桜川陽が所属するアイドルグループの研究生らしい。
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