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「お姉さんは?」
「え、私は……」
いや待て、これ情報引き出そうとしてる?
「な、名乗るような者では……」
「今更警戒してるの? 隠したってしょうがないでしょ。そんなの調べればすぐ……あ、波美さんね」
えー!?
「ねえ本当にこのオッサンと付き合ってないの?」
ドルオタくんのSNSを見せられた。彼女何て名前って質問に波美って答えてる。
「うわー、最低」
思わず呟いたら、冬真くんが慰めてくれた。
「波美さん、元気出して。僕、お茶入れてくるね」
キッチンに消えて行く後ろ姿を見送って今の内に逃げるべきかと思ったけれど、既に勤務先把握されてるし尾行されたら自宅までバレてしまう。どうすればここから安全に帰れるだろうって考えている間に、彼はマグカップを手に戻って来た。
青いカップ。
塗りつぶしただけの青ではなく、味わい深い濃淡があって凄く綺麗だ。
「素敵なカップね」
「でしょ? 僕の故郷の伝統工芸なんだ」
「へー、故郷って何処なの?」
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