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「秋田の角館」
「ああ、桜が有名な所よね。随分遠くから来たのね」
冬真くんってまだ十代かな。もう親元を離れて頑張ってるなんて偉いなあって考えていたら顔を覗き込まれた。
「それだけ?」
「へ? あ……写真しか見たことないけど、綺麗な所よね。いつか行ってみたいわ」
あれ、違う? まだ何か待ってる顔。
他に何を言って欲しいんだろうと考えていたら、冬真くんに促された。
「お茶、熱いうちにどうぞ」
そうねって手に取って顔に近づけると不思議な匂いがした。
「これ、何のお茶?」
「さあ。お土産で貰ったからよく知らない。でも美味しいよ」
答えながら自分のカップに口を付けた冬真くんを見て、私もカップに口をつけた。
「どう?」
「ちょっと変わった味だけど……美味しい……よ」
ほんとはそうでもないけど、まあ飲める。
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