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「良かった。お姉さんは東京の人?」
「ええ、まあ……冬真くんはアイドルになる為に上京してきたの?」
「逆。上京して来た日に、アイドルにスカウトされた。東京って凄いね」
いや、それは君が凄いんだよ。
「じゃあ上京して来たのは……東京の学校に通う為とか?」
「ううん、東京に来たかっただけ。何も決まってなかったから調度良かったよ」
へー。イケメンはノープランでも人生勝手にドラマチックに展開していいね。
「それで事務所の先輩の桜川さんと一緒に暮らすことに?」
「最初は事務所の寮にいたんだけど、窮屈だってぼやいたら俺の言うこと何でも聞くならここで暮らしていいって言われて、陽の奴隷になったの」
奴隷!?
「だから僕は陽の命令には逆らえないんだ」
桜川陽の命令って……あ、あれ? なんか急に眠……
「ああ。やっぱり普通の人は眠くなるんだね、これ」
……へ?
「大丈夫、僕は飲んでも平気だし、死ぬことはないと思うよ」
し、死ぬって言った……?
死ぬのは流石に……でも……霞んでいく冬真くんの顔、とっても綺麗。
こんなに綺麗な悪魔になら殺されてもいいかな。
悪魔じゃなくてアイドルか。
アイドルの部屋でアイドルに殺されるなんて、私らしくもないドラマチックな最期で……
悪くないかも……
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