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ところで今何時だろうと時計を見たら、深夜0時になる所だった。
「わっ、え、もうこんな時間!? ねえ桜川さんって……」
「ああ、今日ホテル泊まるって」
「帰って来ないの? 早く言ってよ、私もう帰っていいよね?」
「よくないから言わなかったの」
「は? もう勝手に携帯見たじゃない。これ以上ここにいても――」
「そうじゃない。僕が帰したくないから」
不機嫌な顔でも笑顔でもなく真顔でもない。かといって無表情と言うにはあまりにも魅力的な顔を近づけて、冬真くんは言った。
「もう帰してもいいし泊めてもいい、僕の好きにしていいって陽に言われた。だから僕は波美さんをここに泊めることにした。だって波美さん帰っちゃったら寂しいもん。はい、どうぞ」
既に用意していたモコモコした着替えとタオルとアメニティグッズを差し出された。
「僕のだけど、着れるでしょ?」
と、冬真くんの服!? 広げてみたら彼が着ている服の色違いだった。
「男だと思うと目障りだからペット感出しとけって、陽に与えられた服。バスルームはあっち」
ペット感……確かに冬真くんは犬とか猫と同列のなんか可愛い生き物に見える。私が着てもペット感出るかしら。
てか私、既に変なお茶で眠らされたりしてるのに、ここに泊まって大丈夫なの?
でも今更逃げても意味ない気がするし、今から帰るとかだるい。ここなら会社からも近いし。
「じゃあバスルームお借りします」
ここが桜川陽のバスルーム……桜川陽がここで裸に――ダメだ、考えちゃダメ。
さっさとシャワー浴びて出よう。それで着替えてとっとと寝てしまおう。
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