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そしてお揃いの服に着替えて部屋に戻ると、そこではなく奥の部屋から声を掛けられた。
「電気消してこっち来て」
言われた通り電気を消して奥の部屋の扉を開くと、冬真くんは大きなベッドの片側で寝ていた。
「え……私もここで……」
「うん。早く来て」
来てって……深い意味はないよねと思いながらベッドに乗ると、冬真くんは目を閉じたまま言った。
「僕、部屋に誰かいないと安心して眠れないの。明日は朝から仕事だから早く寝ないと。波美さんも仕事?」
「うん、朝から普通に……」
「そう。6時に目覚まし掛けたから、7時には一緒にここ出てね」
早っ。でも独りで残るわけにいかないし、仕方ないか。
「じゃあお休み」
「お休みなさい」
冬真くんがリモコンで電気を消すと何も見えなくなったけれど、すぐに可愛い寝息が聞こえて来た。
ダブルベッドに男女2人で寝るのかって一瞬身構えたけど、アイドルの彼からみたら私なんてただのオバサンか。
慣れないベッドで眠れないかと思ったけれど、そんなことなかった。私を起こしたのは……目覚まし時計の音?
ピンポーン、ピンポーン、トントントン、ピンポーンって随分変わった音だね。
ピンポンピンポンピンポン、ドンドンドンって煩い。
冬真くん、早く止めてって――うん?
「おーい」
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