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「違います、私そういう女じゃ――」
「じゃあどういう女?」
「昨日トラブルに巻き込まれて桜川さんに助けていただいたんです。桜川さんはすぐに仕事に出掛けて冬真くんと2人になりましたけど、彼は私にそういう興味は全く示しませんでした。ベッド1つしかないから一緒に寝ただけで何もしてません」
嘘じゃない。イケメンに負けないようにしっかり目を見て訴えたけど、にらみ返されてしまった。
「トラブルに巻き込まれたって、どんなトラブルだよ」
「変な男に追いかけられて……」
「あんた元々陽の知り合いなの?」
「いいえ……」
イケメンの唇の端が上がるのを見て答えを間違えたと気付いたけれど、もう遅い。
「見ず知らずの女、困ってたからって家に連れて帰るか? あいつ普通の男じゃなくて結構売れてる芸能人だぜ?」
だよね、どうしよう。
日菜ちゃんのこと言っちゃおうか。いや、この人が何者かもわからないのにそれはマズイよね……
「あ……暗かったし、知り合いの男性と間違えたみたいです。ほ、ほら私髪短いし胸小さいし、身長も高めだし……」
苦しい言い訳をすると、彼は私の全身を舐めるように見て答えた。
「まあ確かに男に見えなくもないけど……人違いする程似てるタレントは少なくともウチの事務所にはいないな。強いて言えば少し陽に似てる」
え、私、桜川陽に似てる?
「答えろよ。アンタ本当は何者だ?」
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