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会社に着いて田中さんの顔を見たらホッとした。
「おはよう」
「おはようございます」
「あれ一条さん、その服昨日も着てなかった?」
私の服なんて誰も気にしちゃいないだろうと思ってたのに、見る人は見てるのね。
「あ、ああ、昨日急に知り合いの家に泊まることになって――」
「一条さん、おはよう」
うわっ出た、ドルオタくん!
ちょ、何? 顔近づけないでー!
「昨日はいきなりでびっくりさせちゃったね。でもお互いゆっくりしてる暇ないから返事は早めに頼むよ」
――は? え、私はっきり断ったよね?
「え、一条さん昨日泊まったのって――」
「違います、違います、あの……助けて下さい!」
思わず縋ったら、会社の近くで話すわけにもいかないだろうって、彼女は仕事が終わると家に招待してくれた。
「どうぞ」
「お邪魔します……」
昨日入った陽のマンションより狭い部屋。でも花とか飾ってあって可愛らしい。写真もある。景色の方が大きくて控えめだけど、夫婦の写真だ。
「お腹空いたよね。ちょっと待ってて」
「ああいえ、すぐ帰りますから――」
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